第1会 〇曼荼羅とはなにか 種智院大学元教授・大正大学名誉教授 野口圭也先生 | |||||||||||||||||||
![]() | 「曼荼羅とはなにか」という問いは、「密教とは何か」を問うことと等しい。インド仏教の歴史の後半に起こった密教の、教理と実践のすべてが凝縮されて形となって表されたものが曼荼羅である。すなわち「曼荼羅を識る」ことは「密教を知る」ことに他ならない。 リレー講座の序論として、密教の発展とともに展開を遂げた曼荼羅の歴史をふりかえりつつ、多種多様な曼荼羅に関する基本事項を概説する。 | ||||||||||||||||||
昭和29年、東京豊島区生まれ。京都大学大学院文学研究科仏教学専攻博士後期課程満期退学。真言宗豊山派、南蔵院住職、豊山派総合研究院宗学研究所所長。
種智院大学元教授、大正大学名誉教授。 専攻分野:インド密教の教理と実践に関する文献学的研究 主著書:『初期密教 思想・信仰・文化』(編著、春秋社、2013年) 『空海とインド中期密教』(編著、春秋社、2016年) 主要論文:「胎蔵マンダラと五智」『密教学研究』第54号、2022年 ・「留身入定と滅尽定」『豊山学報』第66号、2023年 ・「清浄法界智と法界体性智」『川崎大師教学研究所紀要 佛教文化論集』第13輯、2024年 |
|||||||||||||||||||
第2会 〇曼荼羅の新しい見方 金沢大学教授 森雅秀先生 | |||||||||||||||||||
![]() | インドで生まれたマンダラは、平安時代初期に日本に伝えられてからさまざまな展開を示しました。密教ばかりではなく修験道や浄土教、法華経信仰、さらには民間宗教に至るまで、数多くのマンダラが生まれました。この講義では、これらのマンダラをとおして、日本人にとっての「仏の世界」がいかなるものであるかを考えます。 | ||||||||||||||||||
名古屋大学大学院文学研究科中退。ロンドン大学大学院修了。 Ph.D.(ロンドン大学1997年)。名古屋大学文学部助手、高野山大学文学部助教授等を経て,現在,金沢大学人間社会研究域教授。専門は仏教文化史、比較文化学。 主な著書に,『マンダラの密教儀礼』(ちくま学芸文庫,2025),『マンダラの新しい見方』(法藏館,2024年),『生と死からはじめるマンダラ入門』(法藏館,2007年),『チベット密教仏図典』(春秋社,2019年),『エロスとグロテスクの仏教美術』(春秋社,2011年)ほか。 第3会 〇金胎両部の曼荼羅 高野山大学元学長 乾龍仁先生 |
![]() 大日経と金剛頂経では成立した時代も地域も異なり、インド・チベットではこの二部の経典を相並べることはない。この二つを大法として相並べるのは唐の恵果和尚の時代になってからである。弘法大師はそのような金胎両部の密教を請来された。今回はこの二つの法門の曼荼羅を取り上げ、両法門の特徴的な違いについてお話したい。 |
昭和27年大阪府に生まれる。昭和59年に高野山大学大学院博士課程を単位取得退学。その後、密教文化研究所助手、講師を経て、文学部助教授、教授に就任。副学長、学長を経て、令和3年に退職。現在は名誉教授。専門は密教学で、インド中期密教の金剛頂経を中心とする研究を専攻してきた。また日本密教にも関心をもち、最近は高野山史の研究にも取り組んでいる。論文は主に金剛頂経に関するものが多い。『新国訳大蔵経 密教部4』収録の「金剛頂経の解題と訳注」を担当した。 |
第4会 〇『理趣経』の曼荼羅 高野山大学特任教授 川﨑一洋先生 |
![]() 「不空訳『般若理趣経』の各段の内容を踏まえつつ、『般若理趣釈』、『理趣広経』などの資料を参考にしながら、宗叡僧正あるいは慈覚大師の請来とされる「理趣経十八会曼荼羅」の図像を解説します。また、講師が新たに発見したチベットの理趣経曼荼羅についても紹介します。
| 岡山県生まれ。僧名は一洸。高野山大学博士課程修了。高知県大日寺住職。現在、高野山大学特任教授、智山伝法院客員講師、善通寺勧学院専門研究員を務める。 |
種智院大学客員教授・高野山大学客員教授 平岡宏一先生 |
![]() 煌びやかな砂絵マンダラで知られるチベット密教のマンダラであるが、その意味付けの説明を聴く機会は少ない。本講座では秘密集会タントラに説かれる曼荼羅を始めとして、チベット密教における曼荼羅の意義を説明する。身体マンダラや砂絵マンダラ作成の意図など無上瑜伽タントラ独自の解釈を中心にチベット密教におけるマンダラの果たす役割を考える。 |
学校法人清風学園理事長、清風中学校・高等学校校長
高野山真言宗僧侶(僧名 寛信)であり、高野山大学・種智院大学の客員教授も務める。
早稲田大学第一文学部卒業後、種智院大学を経て、高野山大学博士課程(密教学専攻)単位取得満期退学。2020年、博士(密教学)[高野山大学]。
1988年~89年、インドのギュメ密教学堂に留学。外国人として初めてCERTIFICATE(正式に伝授されたことを示す証明書)を受ける。
著書に『秘密主上タントラ概論』(法藏館)、『チッタマニターラ 瑜伽行修道の方法』(法藏館)、『運命を好転させる隠された教え チベット仏教入門』(幻冬舎)等、訳書に『ゲルク派版チベット死者の書 改訂新版』(Gakken)などがある。
|
|
種智院大学同窓会ウェブサイト |
種智院大学ウェブサイト |